ひと:東儀俊美さん=復元した雅楽の幻の舞を演じる
◇東儀俊美(とうぎ・としはる)さん(80)
毎日jp
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中国の唐時代につくられた雅楽の幻の舞「採桑老(さいそうろう)」を07年に復元した。本来は長寿を祝うはずが、「舞うと数年で死ぬ」と伝えられ、 江戸時代に途絶えたいわく付きの舞楽だ。10日に開く演奏会(東京都品川区・きゅりあん大ホール)で、自ら披露する。「装束と面は宮内庁楽部に残っている が、舞った記録はないので、古い資料にあたって構成した。ぜひ後輩に受け継いでもらいたい」。柔和な顔に情熱をにじませる。
笙(しょう)や篳篥(ひちりき)を奏でて舞う雅楽は、千数百年前に中国などから伝わったとされる。その歴史を担う「楽家(がっけ)」に生まれた。 小学4年の時、父親が亡くなり、「心ならずも」同じ道に入った。11歳から宮内庁楽部で7年間学ぶ。専門は篳篥と琴。雅楽には西洋音楽のような楽譜はな い。あるのは難解な片仮名の譜面だけだ。「節は先生に教えてもらうしかない。習っても家に帰ると忘れる。そしてまた習うの繰り返し。5、6年やって何とな くわかってきた」
昭和天皇のご大喪(89年)の際には、皇居・御文庫でモーニングを着て篳篥を吹いた。「洋装での演奏は史上初めてだと思います」。現役時代の忘れ られない思い出だ。
退官後は、雅楽を演奏する民間団体「雅楽道友会」の活動に携わり、後進の指導にあたる。「演奏していないと生きている気がしない。いくつになって も装束を着て舞台に立ちたい」。代々雅楽にささげてきた伝統の血が騒ぐ。<文・真鍋光之、写真・小林努>
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■人物略歴
東京都出身。94年宮内庁楽部首席楽長、96年退官。演奏会の問い合わせは雅楽道友会(03・3783・2371)。
6月10日 雅楽道友会の第2回演奏会が楽しみです。